7人で旅をしたら
「いよいよですね」
「この旅ももう終わりだな」
「この扉の奥にいる魔獣を倒せば平和が訪れるって訳だ」
「で、その後どうすんの?」
「その後って?」
「いや、倒すのはいいんだけど、その後の展開っていうか、まとめ方みたいな」
「任せてください」
「おっ」
「こういう7人くらいで旅する物語のまとめ方には、ちゃんとテンプレートが用意されてるんですよ」
「聞こうじゃないか」
「要は、それぞれ幸せに暮らしました感が出ればいいんです。なので、戦いが終わったらまず故郷へ戻ってください」
「たりー」
「うるさい。で、1人目のテンプレートなんですが」
『王から戴冠』
「王様から戴冠してください。平和をもたらしたことによって名誉が得られましたという幸せの一側面をアピールするんですね。戦力的に主力級の人がいいと思います。」
「豪勢だなあ」
「なんで王様はいきなり位を譲るんですか?」
「そりゃ戦いによって平和をもたらした功労者には最大限の褒章を与えるでしょう」
「戦いに必要なスキルと国を統治するスキルは別物だと思うけどなあ」
「そいつ暗君なんじゃないの?」
「そもそも知り合いの王様いないしね」
「じゃあ、これならどうですか?」
『故郷で英雄扱い』
「2人目と3人目は、やや田舎の町へ凱旋します。そこで英雄として熱烈な歓迎を受けるというフィナーレです」
「さっきのよりは実現性ありそうですね」
「その2人はカップルで、町娘にちやほやされて鼻の下を伸ばす男に女がやきもちを妬いているような構図が多いです」
「じゃ、無理だな」
「え?」
「今回の選ばれし7人は全員中肉中背の男なんだぞ」
「1」
「2」
「3」
「4」
「5」
「6」
「7」
「ほんとだ、意味分からない」
「偏りすぎ」
「データの中央値付近からパパパッと選んだだろ絶対」
「家も近いからねぇ」
「となると、後のも難しいかもしれませんね」
『一人辺境の地で、達成感を味わう』
『村の仲間たちと盛大な宴を始める』
『自然を守りながら穏やかに過ごす』
「それぞれ、一匹狼タイプ(獣人、剣士が多い)、怪力タイプ(イエティ、原始人が多い)、ロボ(若しくは巨男)のテンプレートです」
「いねーよ」
「何だよロボって」
「まともなテンプレートないじゃないか」
「い、いや。普通に旅すればちゃんと着地するんですって。ほらこれ」
『かつての日々を懐かしみながら勉学に励む』
「この役、私がやりますよ。ぴったりじゃないですか?」
「いや、お前文盲だろ」
「宿にある聖書を電話帳だと思ってたの引きました」
「メガネ ガ カワイソウ」
「…(初めて喋った)」
「…とにかく!そんなまとめ方なんていうのは、目の前の敵を倒してから考えればいいんですよ。扉開けますからね」
ギィィィィ
うおおおおおお