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童話「中坊バカ丸&ザ・とのさまがえる」

 ガラガラ。ピシャン。ザ・とのさまがえる先生が教室に入ってきました。
 教卓の真んまん前の席で、この日のためにこしらえた机の木目にそっくり柄のふろしきをかぶって、今日こそは先生にばれまいと丸まって隠れている中坊バカ丸くん(中2)は、もう、クスクスクスクス笑っておりました。
「お早う、今日も元気ですか。ハエのお茶漬けを食べましたか。先生は今朝から3杯もたべましたよ」
 ザ・とのさまがえる先生は気分良くしゃべっていましたが、異変に気づいて、目をちっぱりと見開いて、ころりと動かしました。
「あれれれ、バカ丸くんはどこいったかな?」
 そう言ったら、ザ・とのさまがえる先生はにこにこにこにこ笑って、いつも持ってるすてきな銀の指し棒をぴゅいっと伸ばし、教卓からやっと顔と手を出し、バカ丸くんの入ったふろしきをポンポンポンポンポンたたきつけました。
 バカ丸くんはふろしきの下でスケスケ笑っていっしょうけんめい口を押さえておりましたが、ザ・とのさまがえる先生の叩き方のおもしろいことったら。くすぐったいやらむずむずするやらあくびが出るやら、もう足をばたばたさせて、またまた結局いつもの泥仕合、「お二人さん!」状態になってしまいました。
「バカ丸くんはいないのかな~~~」
 ポンポンポコポンポンポコポン。
「いないよ~~~!!!」
「ほんとかな~~~~~~!!??」
 ポンポコポコポンポンポンポンポン。
「や~~~い、ザ・とのさまがえる~~~!!」
 足、バタバタバタバタバタ!
「ぼ・く・だ・よ!」
 舌、ペロペロペロペロペロ!
「ヘッ、エヘッ、し~~~~~ん……ここに誰もいないよ~~~~~!!」
 すっとこすいすい、すっとこすい…………(ペロリ!)
 まったくもう、結局そればっかりで、1時間目の終わりの鐘がきりんころんと鳴りました。
 ガラガラ。ピシャン。
 来週、先生一人に生徒一人のこの学校は廃校になります。

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